大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 小式部内侍
百人一首: 好きな一首
大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 小式部内侍
この歌は、小式部内侍の生い立ちと深く関わっています。
小式部内侍の母上は、かの和泉式部なのですよ。
グレートマザーですよね。
あまりにも偉大な母君。
その母君が夫君の保昌にしたがって、丹後に赴かれました。
他方、京で催された歌会に出席した娘の小式部内侍は、
(お母さんに助力を頼んで)
丹後に使いを出したことでしょう。お母さんから返事は来ましたか。
と定頼の中納言という人に、からかわれます。
グレートマザーを持つ娘のつらさですよね。
ところが小式部内侍はおめおめ引き下がる娘ではなかった
大江山いく野の道の遠ければまだふみも見ず天の橋立 小式部内侍
即座にこの歌を詠みます。
大江山を越え、生野を辿る丹後への道は遠いので、
私はまだ天の橋立を踏んだこともありませんし、
母からの手紙も見ておりません。
定頼の中納言はこの切り返しに慌ててしまって、
歌を返すことも出来ず退散したとのことです。
生野/野を行く
文/踏み
と、華麗に掛け言葉が使われ、即興で歌った 小式部内侍の才能が煌めきます。
幼少時よりあまりにも才が傑出していたので、
どうせお母さんの代作だろうと噂されていたのを、
完全に断ち切る素晴らしい作品でした。
早逝されたのが惜しまれます。
母君の和泉式部の歌は、やはりこれ
さて、和泉式部の歌では、やはりこちらが私はいちばん好きですね。
物おもへば沢の蛍も我が身よりあくがれいづる魂かとぞみる 和泉式部
ものすごい迫力です。
ちなみに百人一首に収められている和泉式部の歌はこちらです↓
あらざらむこの世のほかの思ひ出に今ひとたびのあふこともがな 和泉式部
今日の英単語: condemn (動詞) 非難する
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